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zoom RSS TERADA闘病記 第5回

<<   作成日時 : 2016/08/10 12:12   >>

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転がせ DESTINY < 電撃移籍 >


空腹だけが、いまのオレの悩みの種。

いささか高い ハ―ドルではあるが、少しはダイエット効果も期待できるかという思いもあり、強引に食欲を抑止しようとするのだが、そんなにたやすく鎮火できるはずもない。

オレは待っていた。禁食から解放される時を、ひたすら心待ちにしていた。

ところが…急転直下、このタイミングで転院することになったわけ。

その理由というのは手術の治療実績だ。

母方の叔母が調べてくれていたみたいでさ。

どうやら最初に入院していた病院は、膵臓癌の手術件数が少なかったみたいでね、そのわりに、主治医ときたら1週間ちょっと先には手術を行うような口ぶりだったから、余計に心配して転院先を考えてくれていたみたいなんだ。

父親も三十数年通い続けている、かかりつけの病院の医師に、オレの状態を話してくれていたみたいでさ、その病院の医師が紹介しようとしてくれたのが、父親も過去に数回手術をしたことのある病院。

オレが…ガキの頃、少しの間保育園に行かず、母親と一緒に寝泊りして生活していた病院だったってわけ。

「手術をするということは、術後の治療も含めて、長期間になるので、それなら地元の病院に転院したほうが、なにかと都合が良いかと思いまして」と、あたりさわりのない発言で、転院を希望している旨を主治医に伝えると、その主治医は、腕の立つ医師を紹介すると言い、即連絡をしてくれたんだが、その腕の立つ医師とは偶然にも、父親が相談してくれた病院の医師が、紹介しようと考えてくれていた病院の医師と同一人物だったんだ。

今年の夏で、三十七歳になるオレだが、この年齢での膵臓癌も珍しいようで、しかも早期発見ということで、最初に入院した病院からしたら、手術してみたかったんではという話も、長い付き合いになる医療従事者から聞いたりしたが、もちろん真意を知るよしもない。

ここは…すべては ALL RIGHT! 

全部ひっくるめて、ラッキ―だ。

この時点では、まだオレも治療法に関して、全く無知だったから、なんとなく良かったのかな程度だったんだけどさ、少しずつ治療法なんかも知っていくにつれ、転院して助かったという気持ちが強くなっていったね。

もちろん断言なんて出来やしないけど、転院せずに最初の病院のままだったら、かなりリスキ―な手術になっていたんじゃないかなと思ってね。

転院の日、点滴や、鼻からのチュ―ブも、ブラ下がったままの状態なもんで、救急車で搬送してもらえることになった。

助かったな〜経済的に。

タクシ―代、バカになんない距離だからさ。

それにしても救急車なのに、あまり元気そうなのも体裁悪い気がしたもので、適度に患っている空気感をサラリただよわせ、無事に転院先の病室に上陸!

それにしても、救急車で、約一時間半揺られたわけだが、思ってた以上に、身体が痛かったね。 

まぁ、贅沢な話か。




転がせ DESTINY < いつかの夕焼け >


転院先の病室に入る。

妙に懐かしい景色だ。

オレの父親が入院していたのは、この病室ではなかったはずだが、それでも病室の窓から見える景色に懐かしさを感じずにはいられなかった。

病室から真正面に見えるのは、レンガ模様の喫茶店。

店の名前よりも大きく、なおかつ目立つ位置に喫茶店という看板を掲げておられる。

しかも、喫・茶・店 と、3枚に分けた看板である。

ことのほか業種を主張しているわけですな。

病院の敷地内には、当時あった池はなくなってしまっていた。

当時はウシガエルが数匹いたんだ。

のぶとい鳴き声で、これでもかと自己主張していたな。

そんな ウシガエルが妙に気になって、母親と一緒に池にきては網で捕まえようとしてたっけな。

でも考えてみたら、その頃のオレは、カエルに触ることの出来ない子供だったように思う。

本当は、カエルを捕まえることが目的ではなく、病室を抜けて外の空気を吸いたかっただけなのかもしれないね。

あの時のオレじゃないと分かんないだろうけどさ。

いや…あの時のオレでさえも、そんな理由は分かりっこないんだろうな。

病室の窓からは夕焼けが見える。

オレが見ている、この夕焼けは、幼い頃に感じていた、なんだか、漠然とした寂しさや、人恋しさを、いまのオレに与えることはなかった。

それよりも、新たな環境での生活の始まりを告げられたような気分だった。

最初の病院では、窓際でなく、通路側だったもんで、今回みたいに景色が見えると、ずいぶんと気分も違うもんだなって思ったよ。
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なお、今月はTERADAの誕生日である8月30日にも公開いたします。

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